
さあ、お店を出そうか!というとき、まずは不動産探しから入ってしまうのが人の性。手早くワクワクできますものね。お店のための物件を見ていたのに、単純に物件を見るのが楽しくなってきて、気づいたら家の引越しをしてた。なんてことは、ないか。
ともあれ、出店にあたっては物件がないと始まらないので少し語ってみたいと思います。まずは、お客様から聞かれるご質問にあって、栄えある第一位に輝いたのがこちら。
賃料破格の掘り出し物ないですか?
おそらく100万回は聞かれてきましたので、解説には自信があります。
まず、結論としては「99%ない」っていうのがご回答。というのも、これを理解するには不動産の賃料や価格設定は案外システマチックであるということと、不動産屋も不動産を借りたり買ったりするっていう事実を知る必要がある、というお話です。
賃料の成り立ち方についてですが、主には以下の項目をバロメーターのように数値化して、平均点をつけていくイメージです。
①駅徒歩
②築年数や内装の程度
③エリア
④所在階
⑤視認性
⑥許容可能な利用用途
その平均点が坪単価として、その不動産の査定評価ということになり、その単価に物件の坪数を掛けた数字が賃料です。
なにが言いたいかといいますと、この数字を追いかけるにあたっては、数多ある成約事例を元にしていますので、同じような条件の物件なら、だいたい同じような賃料になってくる=掘り出し物など基本的には存在しない、ということなのです。ポータルサイト等で「なんか安い!」と思われた(もしくは思われて借りられた)物件のほとんどは、上記バロメーターの内、どれかが低いか、契約上イレギュラーな欠陥が存在している、数年後の取り壊しが確定しているなど、なにかがあるはずです。
ただ、逆を言えば、自分(お店)にとって意味のない要素は条件が悪ければ悪いほど、またはイレギュラーを受け入れられれば受け入れられるほど、賃料は安くなるわけで、まさしくこれが予算に合わせた物件の探し方と言って過言ではありません。
弊社では、物件が見つからない、というお客様との面談時には特にヒアリングを重視しています。出されたいお店の詳細を伺うことで、もしかしたらもう少し安いエリアでもいいかもしれないし、築年数の経過した物件でもコンセプトにハマるイメージを見出せるかもしれない。特に広さはダイレクトに賃料へ影響しますので、慎重に判断していただく必要がありますね。不動産仲介の経験に留まらず、多くの設計と工事をこなしてきた弊社ならではのご提案ができる場面もあるかもしれません。
ちなみに、1%の可能性を残したのは、不動産管理会社の息がかかってないような物件というのが存在するからです。ただ、そんな破格の物件は市場に出る前に不動産会社自らが手をかけてしまいますので、基本的には皆様の目に触れることはないというのが現実です。
募集のかかってない物件所有者を調べ、オーナー様にお手紙をお送りして、というような方法もあるにはあるのですが、この辺りはお客様と我々の信頼関係がガチガチに固まっていないと実行出来ない立ち回りだったりしますので、是非是非、これから良い関係を築いていきましょう!